主要ブランドのアンチドーピング認証状況一覧 — Informed Choice・NSF・BSCGの違いとブランド別検証

日本で購入できるプロテイン10ブランドのアンチドーピング認証取得状況を一覧で比較する。Informed ChoiceとInformed Sportの検査方式の違い、マイプロテインの製品ライン別認証差、JADA認証廃止の経緯も整理する

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アンチドーピング認証とは、第三者機関が製品をロット単位で検査し、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)禁止物質の混入がないことを確認する仕組みである。市販スポーツサプリメントの12〜58%に禁止物質の汚染が報告されたレビューもあり(Martínez-Sanz et al., 2017, Nutrients)、競技者にとって認証の有無は重要な選定軸になる。

本記事では、日本で購入できる主要10ブランドの認証取得状況を一覧で比較する。

認証スキームの違いは何か

主要な認証スキームはInformed Choice(英国LGC社)、Informed Sport(同LGC社)、NSF Certified for Sport(米国NSF)、BSCG(米国)の4つ。最大の違いは検査タイミングと対象物質数にある。Informed Choiceは月次ブラインドサンプリング(市場から購入した製品を検査)、Informed Sportは全バッチ出荷前検査(未通過バッチは市場に出ない)。

認証スキーム運営機関対象物質数検査方式主な採用地域
Informed ChoiceLGC Group(英国)285種以上月次ブラインドサンプリング日本・欧州・豪州
Informed SportLGC Group(英国)285種以上全バッチ出荷前検査欧州・競技団体
NSF Certified for SportNSF International(米国)290種全ロット検査+製造施設監査NFL・MLB等北米プロ
BSCG Certified Drug FreeBSCG(米国)450種以上全製品ロット出荷前検査個人競技・UFC

Informed ChoiceとInformed Sportを「同じ認証」として扱う記事があるが、検査方式が根本的に異なる。Informed Sportは未通過バッチが市場に流通しない点で、消費者にとってより厳格な保証となる。

10ブランドの認証状況はどうなっているか

認証の有無はブランド単位ではなく製品ライン単位で異なることが多い。同じブランドでも認証取得済みの製品と未取得の製品が混在する場合がある。以下の比較表は2026年6月時点の情報に基づく。

ブランドInformed ChoiceInformed SportNSFBSCG備考
ALPRON日本プロテイン協会公認。国際認証は未確認
BAZOOKA○(WPH確認済み)FSSC22000取得(製造工場)。クレアチンはケルンリスト®
be LEGEND○(WPC)2020年6月取得
DNS○(主要ライン)2016年国内初取得。2024年11月に第一三共HCへ事業移管
GronG○(WPC・クレアチン)2025年3月取得(比較的新しい)
Myprotein○(一部製品)○(Eliteのみ)日本版はInformed Choice記載なし。後述
SAVAS○(主要ライン)一部商品を除く
ULTORA○(ホエイダイエット)2019年よりアンチドーピング訴求
VALX○(WPI・EAA9)WPCの認証は未確認。クレアチンはケルンリスト®
X-PLOSION××××第三者認証なし。独自基準で対応

※「○」= 取得確認済み、「△」= 一部または別系統の認証、「×」= 認証なし、「—」= 取得なし/該当なし。

マイプロテインの製品ライン別認証差。「Impact Whey Protein Elite」はInformed Sport(全バッチ出荷前検査)を取得しているが、日本で最も販売量が多い「Impact ホエイプロテインパウダー」にはInformed Choice/Sportの認証記載がない。「マイプロテインはInformed Sport取得」と一般化するのは不正確であり、購入する製品ラインごとに確認が必要。

認証なし=危険ではない。X-PLOSIONのように第三者認証を取得していないブランドも存在する。認証がないことは「禁止物質が混入している」ことを意味しない。「第三者機関による検証が行われていない」という事実の記述にとどめる。競技でドーピング検査を受ける可能性がある場合は、認証取得製品を選ぶことがリスク管理として合理的である。

JADAサプリメント認証は今も有効か

JADAサプリメント分析認証プログラムは2019年3月31日に廃止された。猶予期間(2020年3月末)以降は認証マーク表示が認められていない。後継制度であるSSRサイト(JCAC運用)も2025年3月31日に新規分析受付を終了している。

2026年6月時点で、JADAはサプリメント認証マークを発行していない。「JADA認定」と表示された製品があっても、それは過去の認証であり、現在も有効であることを意味しない。

よくある質問

マイプロテインの製品はドーピング検査に通るか

マイプロテインの「Impact Whey Protein Elite」はInformed Sport認証を取得しており、全バッチが出荷前に禁止物質検査を通過している。ただし日本で広く販売されている「Impact ホエイプロテインパウダー」にはこの認証がない。競技でドーピング検査を受ける場合は、EliteラインまたはInformed Sport認証が明記された製品を選ぶことが推奨される。

Informed ChoiceとInformed Sportのどちらを選ぶべきか

競技レベルによる。趣味でスポーツを楽しむ場合はInformed Choice(月次抜き打ち検査)でも十分なリスク管理になる。国内外の公式大会に出場しドーピング検査を受ける可能性がある場合は、Informed Sport(全バッチ出荷前検査)の方がより厳格な保証を提供する。NSF Certified for Sportも同様に全ロット検査を行っている。

認証を取得していない製品は避けるべきか

認証なし=禁止物質混入リスクが高い、という等式は成り立たない。認証取得にはコストがかかるため、中小ブランドや低価格帯の製品では取得していないケースが多い。ドーピング検査を受けない一般消費者にとっては、認証の有無よりも原材料表示・製造工場の品質管理体制(FSSC22000等)を確認する方が実用的な判断基準になる。

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参考文献

  • Martínez-Sanz JM et al. (2017). Intended or Unintended Doping? A Review of the Presence of Doping Substances in Dietary Supplements Used in Sports. Nutrients, 9(10), 1093 (https://doi.org/10.3390/nu9101093)
  • Jagim AR et al. (2023). Prevalence of adulteration in dietary supplements and recommendations for safe supplement practices in sport. Frontiers in Sports and Active Living (https://doi.org/10.3389/fspor.2023.1239121)
  • Al-Saad N et al. (2026). Systematic review of undeclared prohibited substances and pharmacological adulterants in dietary supplements: prevalence, detection, and risks in sport. Frontiers in Sports and Active Living (https://doi.org/10.3389/fspor.2026.1740663)